一般のみなさまへ 思春期の健康課題

一般のみなさまへ
(思春期の方・保護者・教育関係者など)


日本思春期学会から一般のみなさま(思春期の方・保護者・教育関係者など)への情報提供として、このページでは、思春期の健康課題について解説します。

「高校1年ですが、初経がまだありません」

初経とは初めて月経が起こることを言います。高校1年(15歳〜16歳)まで一度も月経がない場合は「初経遅延」の状態と考えられます。

1.月経の初来(初経)

日本における平均初経年齢は12歳前半で、遅くとも満17歳までにほとんど(98〜100%)の女性が初経を経験すると言われています。15歳以降に自然に初経が発来るすることはまれです。そして満18歳を過ぎても初経がない場合を「原発性無月経」、15歳以降で初経が起こった場合は「遅発初経」と定義されています。この15歳から「遅発初経」までの、月経が始まっていない時期のことを「初経遅延」状態と呼びます。

2.原因について

初経が発来することは思春期の女性において最もドラマチックな現象であり、小児から成人への成長の証を現象として感知できる性徴の一つです。初経が発来するためには様々な因子が影響しますが、一般的に身長や体重の発育速度のピーク後6か月から2年後の間に初経が来発するとされています。そこで、体重と身長をプロットすることで初経が来る時期をある程度予測することができます。このように月経は身長や体重との関連性、特に体脂肪と密接に関係しており、初経が発来するためには体脂肪率が17%以上必要と言われています。栄養状態の悪い飢餓の状態では体脂肪は極端に少ないですが、現在の日本では、まず考えられません。体重に占める脂肪の比率が筋肉の比率より極端に少ない審美系の新体操や体操、持久系の陸上の長距離のスポーツを小児期から続けているトップクラスのアスリートなどは身長や体重が増加しても、初経の発来が遅れることがあります。

また、ホルモンの分泌機構(視床下部―下垂―卵巣系)の異常、甲状腺や副腎皮質の機能障害なども「初経遅延」の原因となり得ますが、18歳を過ぎても初経の起こらない「原発性無月経」との鑑別は困難です。「原発性無月経」はターナー症候群などの染色体異常や先天性の酵素欠損が原因のものが大部分を占めます。

3.無月経の問題点

無月経の一番の問題は女性ホルモン(エストロゲン)の低下により骨密度が減少することです。骨密度は11〜14歳で年齢増加率が最も大きく、18歳頃に骨量のピークを迎えます。このように思春期は骨成長に大切な時期なので、この時期に高い骨量を獲得できなければ、将来、骨粗しょう症や骨折などを起こし易くなります。同様に低エストロゲン状態は将来に高血圧等の心血管疾患のリスク因子になります。

4.対応・治療について

「初経遅延」はグレイゾーンですので、医療の介入が必要です。また、「原発性無月経」は早期の診断および治療開始が必要ですが、二次性徴が正常である場合はRokitansky症候群(ロキタンスキー症候群:子宮と腟の一部もしくは全部が欠損して生まれる先天性の疾患)や、処女膜や腟あるいは頸管が閉鎖しているために出血しない"みせかけの無月経"があり、適切な時期での手術が必要となりますので、この思春期の二次性徴(乳房発育、成長スパート、腋毛および陰毛の存在)の有無の確認が大切になってきます。

このように15歳になっても月経が発来しない「初経遅延」状態では、遅延なく専門医への受診が必要ですが、(1)13歳までに思春期の徴候(乳房の発達,成長スパート)がみられない場合、(2)14歳で陰毛がない場合、(3) 乳房発育開始後5年以内に初経がない場合、も専門医への受診が望まれます(表1)。

表1 専門医への相談・受診の目安
(1)13歳までに乳房の発達や成長スパートがみられない場合
(2)14歳で陰毛がない場合
(3)乳房発育開始後5年以内に初経がない場合
(4)15歳になっても初経がない場合
5.どこへ相談すればよいか?

この月経の異常はまず母親が気づき相談を持ちかけるのは学校の養護教員と思われます。相談・受診に関しても思春期女性の肉体的そして精神的なデリケートな問題を含んでいます。信頼関係が出来ているかかりつけの小児科医から産婦人科医を紹介してもらってもよいですし、直接産婦人科を受診してもよいでしょう。数は少ないですが疾患によっては一生にかかわる問題を含んでいることもあります。なるべく早めに適切な診断や対処法を行うことが肝要です。