一般のみなさまへ 思春期の健康課題

一般のみなさまへ
(思春期の方・保護者・教育関係者など)


日本思春期学会から一般のみなさま(思春期の方・保護者・教育関係者など)への情報提供として、このページでは、思春期の健康課題について解説します。

「ダイエットをしてから、月経が止まりました」

1、体重減少性無月経とは

月経は25日から38日の周期で規則的にあるのが正常です。月経が止まる原因はいろいろありますが、思春期の無月経(3か月以上月経がないこと)の約60%は急速な体重の変化やストレスによるものであることがわかっています(図1)。

体重が減ったという体の変化を脳が感知し、脳から卵巣へホルモンを分泌するサインを送れなくなっているために月経が止まります。これを体重減少性無月経といいます。やせたためにエネルギーが枯渇し、「子孫を作る」ためのホルモンを出すどころではなく、からだの方は生きていくためのエネルギーを生み出すだけで精一杯になっている状態です。

図1 18歳以下の女性における無月経の誘因

2、メカニズム

女性ホルモンは卵巣から分泌されますが、1ヶ月の間に周期的に分泌され、脳と卵巣との微妙なやりとりの上に成り立っています。このやりとりをコントロールしているのが、視床下部という脳の司令塔です。視床下部は自律神経の大元締めであり、ストレスを感知するところです。ストレスがあると視床下部がホルモンをバランスよく出すことができなくなり、卵巣で排卵がうまく起こらなくなります。そのため月経が不順になったり、月経が止まったりするのです。月経のリズムはとてもデリケートで、体重の減少や環境変化などのストレスにすぐに反応します。少しの乱れなら様子を見ることもできますが、3ヶ月以上月経がないときは放置しないで産婦人科を受診するほうがよいでしょう。他の原因が隠れている場合もありますし、女性ホルモン不足の程度がひどく長期間続いた場合、子宮が小さくなったり骨が薄くなったりしてしまいます。

3、対応

ダイエットをやめて元の体重に戻れば、約90%の人は6ヶ月以内に月経が回復すると言われています。治療の基本は体重を元に戻すことですが、極端な体重減少の場合は、「食べて太りなさい」ということがかえって逆効果になってしまうことがあります。ひどくやせているのに体重増加や肥満になることへの強い恐怖があり、体重や体型に極端にこだわりを持つ病気を神経性やせ症と呼んでいます。神経性やせ症は、自分に自信が持てず対人関係が苦手で、学校や家庭でのストレスをうまく処理できないという心理的な課題を抱えています。この病気が長引くと日常生活に支障をきたし、様々な身体の症状が起こってきます。神経性やせ症が疑われる場合は、なるべく早く心療内科や精神科の専門家に相談することが大切です。

一方、体重は減っていないのに運動量の増加によって無月経となる場合もあります。新体操、体操、陸上長距離などのアスリートに見られます。運動量が多いのにもかかわらずそれに見合うエネルギー摂取が不足していると利用可能エネルギーの不足をきたします。これは上に述べたと同じようなメカニズムで無月経をきたします。利用可能エネルギー不足と無月経は骨密度の低下をもたらして疲労骨折を起こすまでになることもあります。これは選手生命に影響するので、無月経を放置しないようにしましょう。対応の基本は、運動量を摂取エネルギーに見合った量に減らすこと、あるいはカロリー摂取を運動量に見合うよう増やすことです。最近ではスポーツの指導者もこのことに理解を示すようになっています。  以上無月経について解説しましたが、「月経が毎月規則正しく来ることは健康のバロメーターである」ということをわかっていただけると幸いです。